烏屋茶房さんと「共鳴世界の存在論」について

二宮飛鳥のCINDERELLA MASTER曲「共鳴世界の存在論」の作詞作曲を担当された烏屋茶房(カラスヤサボウ)さんについて僕が知っていることをちょっとまとめてみました

どちらかと言うとカラスヤさんの経歴紹介みたいなものについての部分が大半を占めているので、「存在論」の曲解説については実はそこまで多くはないです。もしそちらを期待されてこのリンクを開いてくれた方はごめんなさい…

あくまで個人的な主観に基づくものなので、その辺りはあしからず



烏屋茶房(カラスヤサボウ)さん

元々はVOC@LOIDを使ってニコ動に曲を上げていたボカロPさん
よく使用しているのは鏡音リン、レン等

ボカロPの起用ってことで発表当時はちょっとした話題にもなっていましたね


デビュー当時は存在論みたいないわゆる『中毒性の高い楽曲』とは無縁であり、純ロック、おしゃれなジャズ曲みたいな路線で一定数の支持を集めていた方です


自身初の殿堂入り(10万再生超え)曲がこちら

鏡音リンwarm&sweet】シンデレラシンドローム【オリジナル曲】
http://nico.ms/sm13673226

シンデレラってタイトルに思わずニヤっとしてしまうけれど、リンの引き絞るような叫びが印象的な力強いロック曲

この曲のヒットを期に知名度は伸びていったものの、その後は中々スマッシュヒットを飛ばせないでいたように思います


転機となったのは、2曲目の殿堂入りとなった曲

鏡音リン・レンpower】ジャバヲッキー・ジャバヲッカ【オリジナル】
http://nico.ms/sm15155336

ボカロ文化も中期に差し掛かり、有名P、無名Pの差が如実に現れ始めた頃
当時はカゲプロに代表されるような『中毒曲』が全盛の時代でした

その風潮を受けてか、この曲もかなり早いペースでの10万再生超えを果たすことになったと記憶しています

既にボカロ曲が飽和を迎えつつある状況の中で、リスナーはより分かりやすく脳直で沸ける曲、よりブッ飛んだ刺激的な曲を求め始めていた、そんな時代

ランキング上位にはどれも似たような曲ばかりが並び、それを受けて作り手たちもより刺激の強い中毒曲を提供していく
思考停止のディストピア


そんな思考停止の状況に一石を投じるべく、カラスヤさんはとある声明文と共にこんな曲を発表した

【オリジナル曲】プロパガンダ  カラスヤサボウfeat.鏡音リン
http://nico.ms/sm17171418


曲を聞いたあとにこちらの声明文も続けて読んでみて欲しい

プロパガンダ声明文
http://b3ts.atgj.net/

中毒曲サイコー!って脳直で沸く者
この曲の意図に全面賛同し、そいつらを馬鹿だと叩く者
いやいや、全面賛同こそが馬鹿の所業だと糾弾する者
わかっている人々
わかっていない人々

思考セヨ! 思考セヨ! 思考セヨ!


カラスヤさんが意図した通りにこの曲は荒れに荒れ、大きな波紋を生んでいきました




でも、結論から言えば世界は変わらなかった

この程度の規模のムーブメントでは、大きな流れを伴った世界に大した影響なんて与えられなかったんです


人々は更なる刺激を求め、ヒットチャートには変わらず中毒曲が並び続ける


そしてカラスヤさんはその後、静かなバラード曲を投稿したのを最後にしばしの間ボカロPを引退することを発表されました

【オリジナル曲】よくあるうた カラスヤサボウ feat.鏡音リン
http://nico.ms/sm17239974





ある意味では、敗退と言えるのかもしれない
実際に「厨二病を拗らせた黒歴史」と言う人も少なくはなかった

でも彼は本気で「世界を変えたい」と決意し、世界に抗おうと闘ったんです

その姿は、本当に眩しかった
猛烈に憧れたのを今でも覚えています



そして少し時は経ち
カラスヤさんが共鳴世界の存在論の作詞作曲を担当されることを知りました

本当にびっくりした
なんて神がかった采配なんだろう!! って

世界と闘い、その痛みを知った方が、「セカイから孤立している」と謳う二宮飛鳥に曲を贈ったっていうのは、もう本当に、これ以上ないほど見事な人選だと思うのですよね…



そんなカラスヤさんの人となりを踏まえた上で、改めて「共鳴世界の存在論」を聴いてみてほしいんです


セカイに向けて、存在証明を高らかに叫ぶその意味

痛みを知った者だからこそ伝えられる応援歌にも似た側面


また少し違った目線からこの曲に向き合うことができるのではないのかな、と



いよいよ今週末は TriCastle Story SSA公演ですね

DAY1の Brand new Castle には二宮飛鳥役の青木志貴さんも出演予定となっています

おそらくここで初披露となる「共鳴世界の存在論」が、一人でも多くの方にとって忘れられないものとなることを願って
そしてその一助になれたら幸いかなと思い、今回は筆を取らせて頂きました



この周波数がどうかあなたの心にも届きますように








ちなみにここからは余談

引退を発表してしばらくした後、カラスヤさんはこんな曲を引っ提げて帰ってきた

【オリジナル曲】文学少女インセイン カラスヤサボウ feat.鏡音リン
http://nico.ms/sm18991614


何と言う中毒曲www

吹っ切れ具合があまりにも半端なくて爆笑してしまった
笑いながらめっちゃ泣いた

この人ほんと強いなーって
ずっと応援していこうって思った


その後のカラスヤさんは、時には中毒性すらも自身の武器に変えた質の高い音楽で知名度を磐石なものにし、着実に評価を伸ばしていきました

今では NEW GAME!ED曲「Now Loading!!!!」の作詞を始めとした、アニメタイアップ曲を数々手がける新進気鋭のクリエイターの1人として名を連ねるまでに

ほんとかっこいいんだよなぁ…


今でもボカロ曲は度々投稿しているみたいなので、よかったらそちらも覗いてみてほしいなって思ってます

中毒曲は彼の代名詞の一つかもしれないけれど、それはむしろオマケでしかないのかもしれないですよ



世界で一番きれいな朝に/カラスヤサボウ(Vo.鏡音リン)
http://nico.ms/sm21721851